先月、カットとカラーをしてもらいに美容院へ行った時のこと。
隣の席の女性(多分20代前半くらい、私より年下だと思う)と、美容師さんとの会話がやけに弾んでいた。
若い子らしいというか、ちょっとキャピキャピした調子で話し続ける彼女。
美容師さんが席を外した時以外は、ほとんどの時間会話してたんじゃないだろうか。
もちろん、接客が仕事の美容師さんのほうも、楽しそうに彼女とのお喋りに花を咲かせている。
私がシャンプーのために一度席を立って、戻ってきた時、その会話は耳に入った。
美容師さん「仙台で展示会ありましたよね?ジョジョの」
彼女「そうなんですよぉ、でも昨日で終わっちゃってぇ。結局行けなかったですぅ~」
マジか。
どうしよう、この会話入りたい、めちゃくちゃ入りたい・・!!
だってだって、
その前の週に、私行ってきたんですから。
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのアニメ10周年記念展。
原画や台本・設定資料などが展示されるイベントで、東京や大阪・札幌・福岡と全国で開催中だった。
原作者の荒木飛呂彦先生の出身地であり、物語の聖地・仙台も会場の一つ。
私も4年ぶりに仙台に足を運んで、展示の数々を山のように写真に収めてきた。
(映像作品以外はカメラ撮影OK)
第1部の放送開始から10年間、原作も含め、毎シリーズ楽しんできたJOJO。
それが今、至近距離で話題に上っている。
「前にコスメの一番くじとかもあったんですよねぇ、めっちゃ可愛くてぇ」
「前のジョジョ展も行こうかなって思ってたんですけどぉ、迷ってるうちにチケット売り切れちゃったw」
相手の美容師さんがJOJOを知ってるのかどうかは分からないけど、彼女はしばらくそんな話をし続けていた。
「すいません、JOJOお好きなんですか?」
「私、この間仙台行ってきたんですよ!すごい楽しかったですー!」
・・と、自然にお喋りに加われたら良かったけど、そんな勇気は私にはなく。
(自分の担当さんにも申し訳ないし)
心の中で話しかけるだけにしておいた。
一方の私はこういう場所だと、まず自分からは口を開かない。
相手が話しかけてきたら、それなりに受け応えはするけど、あとは基本黙っている。
ネットで今回のサロンを予約した時、接客については「なるべく静かに過ごしたい」にチェックを入れておいた。
人見知りだからあんまり話しかけないでください、と。
だから私の担当になった美容師さんも、会話は毎回最小限。
カウンセリングや長さの確認の時に話す程度で、雑談に発展することは全くと言っていいほどない。
美容院に限らず、一対一になった場面はいつもそう。
向こうが積極的に話をしてくれる人ならありがたいけど、そうでない時は大抵沈黙してしまう。
昔はよく、それで誤解されることも多かった。
「安音ちゃんって全然喋らないから、私のこと嫌いなのかと思った」なんて言われたり。
でも実際、私はその人が嫌いだったわけでもなんでもない。
「大人しい」とはしょっちゅう言われるけど、別に私も、意図して大人しい人間になったわけじゃないんだよ、と何度言いたくなったことか。
人と何を話したらいいのか、どう会話を展開させたらいいのかが分からないんだと思う。
こうやって文章にすれば、自分の気持ちを素直に言葉に出来るのに、人と直接やり取りをするのは今も苦手。
相手に気を遣わせてるようで、申し訳なく思うこともよくある。
仲良くなりたいという気持ちはあるのに、それを上手く言葉に出来ない。
話しかけていく勇気もない。
だから今回の彼女みたいに、自然に誰かと打ち解けられる人が、ずっと羨ましかった。
でも、そんな自分を変えたいと思うことは、あまりなくなったような気がする。
中学時代、部活の顧問の先生からはよく「もっと周りと話しなさい」と言われた。
私があまりに大人しくて、人と話すことを避けるもんだから、それじゃ将来大変だよ、ということだったのかもしれない。
だから私も、頑張って自分から話しかけようとしたり、会話が途切れないようにしたり、「大人しい自分」からの脱却を試みた。
でも、逆に今は当時以上に無口になってしまってるわけで( ̄▽ ̄;)
だって、「何か話さなきゃ」と無理してとるようなコミュニケーションを、相手が楽しんでくれるはずがない。
自分も疲れるだけだし、そこにエネルギーを使うくらいなら、大人しい人間を貫いたほうがラクなんじゃないのかな。
先程のJOJOで言うと、承太郎みたいな感じ?
彼は戦ってる最中こそ熱くなるけど、それ以外は無口で、あまり表情を表に出さないタイプ。
(中の人曰く、セリフも「・・・」が多かったとか)
他の登場人物も、もちろん私達アニメ視聴者や原作読者も、彼をそんな人間として見ている。
クールな性格は、承太郎の個性であり良さ。
その証拠に、彼は何も言わずに立ってるだけでカッコいいし、私達も今までそこに惹かれてきた。
承太郎がこういう男だからこそ、JOJOの物語も成立するんだと思う。
もし彼がちょっとマヌケだったり、おちゃらけた感じのキャラだったりしたら、今ほど人気出なかったんじゃないか?
お喋りが上手で、外向的な人はもちろん好かれやすいだろうけど、そうじゃない人にも良さはある。
現に私も、直接人と話すことは苦手だけど、文章を書くことは昔から褒められてきた。
このブログだって、私が無口な人間だからこそ、6年近く続いちゃってるのかもしれない。
だから、「このままの自分でいいじゃん」というのが今の気持ち。
お喋りが苦手な人間として生まれちゃったんだから、これはもうしょうがない。
苦手なりに、外向的な人にはない良さもちゃんと持ってるわけだし。
そもそも今、自分が大人しいからといって、誰かにものすごい迷惑かけてるわけでもないしね( ̄▽ ̄)
犯罪とかに繋がることのない限り、無理して「そんな自分を変えよう」なんて考えなくていいと思う。
私もこれからは「口数の少ない自分」をリアルで通していくつもりだ。
さすがに承太郎みたいにはなれないけど、「ただそこにいるだけで素敵な女性」にはなれたらいいな、いつか。

