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安音です♪
待つこと約半年。
やっとこの本が読めた・・
↑逢坂冬馬さんの小説『同志少女よ、敵を撃て』。
アガサ・クリスティー賞の大賞を受賞した話題作ですね。
第二次大戦下の1940年代。
旧ソ連軍の狙撃兵となり、独ソ戦を生き抜いた少女の物語です。
この本を知ったのは、今年1月、インスタでフォローしてる方の紹介を見たのがきっかけでした。
さらにその後、本屋大賞も受賞したことでますます気になってしまって。
地元の図書館にも置いてるみたいだったので、見つけたら借りたいと思ってたんですが、行っても行っても毎回貸出中( ;∀;)
人気の波をかいくぐって、ようやく先月末に借りられたわけです。
ドイツ軍の襲撃によって、故郷と母親を失った主人公・セラフィマは、ソ連軍の女性兵士イリーナに救われます。
彼女は元狙撃兵。
戦闘中に負傷して右手の指を失ったために、現在は狙撃兵の訓練学校で教官を務めていました。
しかし、イリーナはそこで母親の死体と、セラフィマの生まれ育った村を焼き払ってしまいます。
母を殺したドイツ兵・イェーガーと、イリーナに復讐することを誓ったセラフィマ。
彼女は同じ境遇の女性達と共に、イリーナのもとで狙撃兵としての訓練を受け、独ソ戦の最前線に向かうことになる、というストーリーです。
当時、ソ連は参戦国の中で唯一、女性兵士を前線に送り込んだ国。
作中にも、実在したソ連の女性狙撃兵リュドミラ・パヴリチェンコが登場します。
・・ていう話を、私もこの作品読むまで全然知らなくて。
戦争の歴史って、圧倒的に男性中心のイメージだったからびっくりしました。
今でこそ、従軍する海外の女性はさほど珍しくないし、軍隊ではないけど、日本にも女性自衛官がいっぱいいますよね。
でも、ソ連ってこの時代から男女の区別なく、人を戦争に動員してたんだなぁ・・と、少し衝撃を受けたんです。
母親の仇を討つために、狙撃兵として戦うことを選んだセラフィマ。
もともと、彼女は母親と共に猟をしながら暮らしていたので、銃の扱いには慣れてました。
でも、それまで撃ったことがあるのはシカなどの獣だけ。
いくら厳しい訓練を重ねたといっても、人と人が殺し合う戦場の悲惨さに、最初は恐怖を感じます。
それが実際に敵を撃って、仲間の死を目の当たりにするうちに、彼女はどんどん怪物のようになっていくんです。
自分が殺したドイツ兵の数を自慢したり、口調や態度も、話が進むに連れて軍人らしくなる。
終盤、一人でドイツ兵と対峙した時の彼女は、物語冒頭とは比べ物にならないほど変貌してます。
戦争は、それだけ人間というものを変えてしまう。
変わってしまった本人も、「自分は人を殺した」「戦争に加わった」という負の記憶を、一生背負って苦しむことになる。
ネタバレしない範囲でちょっと語っておきますが、作中でセラフィマが最後に殺す相手は、母の仇であるイェーガーでも、復讐したいと思ってたイリーナでもないんです。
それがあまりにもやるせないというか、虚しいなぁ、という気持ちになって。
戦争さえなければ、こんなことにはならなかったのに・・と切なくなっちゃいました。
個人的に好きなキャラクターが、看護師としてセラフィマ達と同じ部隊に加わる少女・ターニャ。
看護師という立場に似つかわしくないほど、口調が荒くてサバサバしてるんですが^^;
それでも、「負傷した人間は敵味方関係なく助ける」という意志を持った女の子です。
ターニャはセラフィマ達のように武器を扱ったり、戦闘に参加することは出来ません。
でも、彼女は戦わずに国を救う道を選んだ。
作中でターニャ自身が言ってるように、彼女のような人がたくさんいたら、人間の争いってなくなるのかもしれないですね。
セラフィマ達が戦った戦争から、80年近く経った今。
ロシアはウクライナに軍事侵攻して、大勢の人が毎日犠牲になってます。
ここ日本でも、安倍さんの銃撃事件なんていうとんでもないことが起きてしまって。
著名な政治家が撃たれて亡くなるとか、ドラマや映画の中だけの話だと思ってたのに。
人間だから、みんな価値観が違って当たり前。
ぶつかったり、意見や感情のすれ違いが起きるのは、もうしょうがないことなのかもしれない。
でもだからといって、それを暴力で解決しようとしたり、傷つけて支配しようとすることは、誰であっても許されないはず。
国や人種の区別なく、相手を受け容れること。
自分と違う思想を持った人でも、その声に耳を傾けようとすること。
そういった思いやりを持てる人が増えて欲しいし、私もそんな人間でありたいと思ってます。
なので皆さん、『同志少女~』是非一度手に取って読んでみてください。
このタイミングだからこそ、考えさせられることがきっとあると思うので。

そして、暗いニュースに疲れたら、お互いネットやテレビから離れる時間を作りましょうね。
楽しいこと・好きなこともして、なるべくいつも通り穏やかに過ごしましょう。
安音でした、チャオ♪

