安音です♪
読書の秋ですね。
しかも、10月27日~11月9日までは読書週間なので、秋のひとり時間に楽しめそうな本を先日図書館で借りてきました。
それがこちら。
↑星新一さんのショートショートセレクション(作品集)です。
いっぱい種類があったんですが、今回選んだのは『盗賊会社』。
星新一さんといえば、「ボッコちゃん」をはじめ、数多くのSF作品を書かれてる作家さんですね。
子供向けのお話が多いですが、大人が読んでも充分楽しめるものばかり。
中でも私が好きのが「おーい でてこーい」というお話です。

台風が明けた翌日、村の社(やしろ)があった場所に、底が見えないほどの大きな穴が出来ていた。
村の人達は話し合って、そこをゴミ捨て場にすることに決めます。
そうしていらなくなった書類やら、産業廃棄物やら浮浪者の死体、さらに放射性物質まで、ありとあらゆるものを穴に捨てていく人々。
地上からはゴミが消えて、空気はどんどん綺麗になりました。
ところがその穴、実は思いもよらない場所に繋がっていて・・という話。
この作品が中学時代、英語の教科書に載ってたんです。
英題は「Can Anyone Hear Me?」。
(同世代で、教科書がニューホ〇イズンだった方はご存知かと)
それがもう忘れられなくて。
当時は作者が星さんということは知らなかったんですが、後々原作の存在を知って、「日本の作家さんが書いたものなんだ!」とびっくりしたのを覚えてます。
そんなゾクッとするオチを含め、興味をそそられる作品をいくつも生み出してる星さん。
今回読んだ『盗賊会社』も、読んだ後にいろいろと考えてしまうような、社会風刺的な作品が多かったです。
個人的に印象に残ったのが「装置の時代」というお話。
自分の身体につけることで、体内の異常を調べてくれたり、健康のためのアドバイスをしてくれる装置。
領収書をマイクロフィルムに保存したり、外出前に戸締りをしたか確認出来る装置。
人間の生活がいろんな装置によって管理されてる、少しだけ未来の話です。
大抵の装置は、3年間は絶対に壊れないという保証がされてます。
ところが、主人公の家にはもう5年以上使ってる装置がたくさんあって、その数は実に1000以上・・
今では毎日のように、何かしらの装置が故障していて、そのたびに修理デパートに持って行かないといけない。
もちろんタダでは直してもらえないし、時間も手間もかかります。
生活は確かにラクになったけど、これって本当に便利なの?
と訴えかけてくるストーリーです。
だいぶ前に書かれた作品だと思うんですが、これ今の時代にも通じる話ですよね。
スマホさえあればなんでも出来るようになったし、現にスマートスピーカーなんてのも登場しちゃって。
この作品の中には、「むかしの人は考えもしなかったろう」というフレーズが繰り返し出てきます。
コミュニケーションも写真撮影も、調べ物も体調管理も、電話一つで完結するようになった今。
確かに昔は、こんなに便利なものが出てくるなんて考えられなかったはず。
ただそれと同時に、スマホや電子機器に頼りっぱなしで、自分ひとりでは出来ないことも増えてきた。
毎月の携帯代もかかるし、だからといってもしネットがなくなったら、私だって生活出来ない(汗)
いい意味でも悪い意味でも、こんな世の中になるなんて、昔の人は考えてなかったでしょう、と。
もちろん、役立つものは大いに生活に取り入れたいけど、それによって起きる弊害も必ずある。
バランスをとるのは難しいけど、メリットとデメリット、両方をしっかりわきまえて、上手に便利なものと付き合いたいですね。
私も、たまにはスマホをいじらない日を作ってみようかな・・( ̄▽ ̄;)

表紙のイラストと、挿絵を手掛けてるのは和田誠さん。
線一本で描かれた可愛らしい絵が、各話に一つずつ入ってます。
なんか学校の教科書思い出すタッチだなぁ、懐かしい(笑)
児童書だから読みやすいし、短いお話ばかりなので、小説が苦手な方でも読みやすいと思います。
是非秋の夜長にお楽しみくださいね。
安音でした、チャオ♪

