安音です♪
先日9月9日は重陽の節句でした。
「菊の節句」ともいいますね。
うちでは3月の桃の節句と、5月の端午の節句くらいしか馴染みがなくて、重陽の節句って実はあまり知らなかったんです、恥ずかしながら・・(汗)
でも、今年はそういった行事について理解を深めたいと思ってたので、この日もちょっと特別なことをしてみました。
まあ、ただ夕飯に行事食食べるだけなんですけどね( ̄▽ ̄;)
重陽の節句に食べるものは、菊の花を浮かべた菊酒とか、秋の味覚である栗や秋ナス。
というわけで、この日の夕食はこちらです。
↑舞茸が入った栗ご飯に、ナスと挽肉・キュウリの生姜炒め。
生の栗を処理する余裕なんかとてもないので、瓶詰めの甘露煮を使ってます。
しかも炊き込みご飯じゃなく、塩を振ってレンチンした舞茸と一緒に混ぜ合わせただけ。
でも、栗ってうちではほとんどお正月にしか食べないので、久々に食べたら美味しかったです。
甘露煮だから甘味もあるし、秋だなぁとしみじみ思いました。
お酒は飲めないので、肝心の菊酒は省略(苦笑)
代わりに菊花大根とかでも良かったけど、難しそうだし・・
そんなこんなで、ちょっとずつ季節の変化を感じるこのごろ。
最近はこちらの小説を読みました。
↑さだまさしさんの『解夏(げげ)』。
あのミュージシャンのさだまさしさんです。
全部で4つの作品が収録された短編集。
夏の終わりにおすすめの小説をネットで探したら、これが出てきたので図書館でレンタルしました。
20年近く前の作品ですが、映画化もされてるんですね。

表題作『解夏』は、主人公が難病を患い、次第に両目の視力を失っていくという物語。
「解夏」は禅宗の言葉です。
昔の修行僧は、夏が始まると寺に籠り、座禅しながら共同生活を送ったといいます。
その修行が始まる日を「結夏(けっか・けつげ)」といい、そこから解放される夏の終わりを「解夏」と呼ぶ。
病気によって、いつか確実に目が見えなくなってしまう主人公・隆之。
そんな彼は、お寺を訪れた時に一人の老人に出会い、この話を聞かされます。
失明に怯えている今は、禅宗における「行」のようなもので、とても辛く苦しい時間。
でも光を失うのと同時に、その恐怖からは解放されることになる。
それが隆之にとっての「解夏」である、と。
災害とか病気とか、とてつもなく辛いことが自分に起こった時、どうやって乗り越えるか。
どうにもならないのであれば、自分に出来ることって、ただ「受け容れる」ことだけだと思うんですよね。
「成るように成る」と、いい意味で諦めること。
すごく怖いし、不安かもしれないけど、周りの人のありがたみとか、新しく気付けることもあるんじゃないか、と思います。
まさに今、コロナで世の中の価値観が大きく変わったみたいに。
最後の最後で、隆之は本当に目が見えなくなってしまうんですが、決して悲しい終わり方じゃありません。
むしろ心が穏やかになって、希望を見つけられたような、そんなラスト。
嫌なことが毎日いっぱい起こってるけど、ちゃんと乗り越えられるように、私達も試されてるのかな、なんて考えちゃいました。
個人的に好きな作品は、一番最後に収録されてる『サクラサク』。
老人性痴呆症を患った父親と、とある出来事から、自分に心を開かなくなった妻と子供達。
バラバラになっていた主人公家族が、崩壊の危機を乗り越えていくというお話です。
過去のブログでも何度か書いてるんですが、やっぱり私、家族モノに弱いなぁ(笑)
ぶつかり合ってた親子が和解したり、優しいおじいさんおばあさんが出てくると、すぐ涙腺が緩んでしまう。
実はうちでも、最近祖父母の物忘れがどんどん酷くなってる気がするんです。
水を出して蛇口を閉めるのを忘れたり、自分で買ってきたおつまみのことを忘れて、賞味期限を切らしてしまったり。
正直、私もちょっとイラっとする時があります。
でも相手だって、別にそうなりたくてなってるわけじゃないんですよね。
歳だから仕方ないことなんだし、さっきも書いたけど、やっぱり「人間そういうものなんだ」と受け容れることが大事。
そして、家族だからと恥ずかしがらずに、お互いの気持ちを伝え合うことが必要なんじゃないかな、と。
反抗的な男の子も、もしかしたら、誰にも言えない悩みを抱えてるかもしれない。
仕事一筋でめちゃくちゃ厳しいお父さんも、愛情の示し方が分からないだけで、本当は自分のことを心配してるのかもしれない。
この作品の家族も、今まで知らずにいた互いの想いに気付くことで、少しずつ関係を取り戻していきます。
最後はみんなで旅行をするんですが、私も家族の温かさが心に沁みて、目頭が熱くなっちゃいました(>_<)
一緒に暮らしていればイライラすることもあるし、ケンカもする。
だけど、そうして時間を共に出来る人が身近にいるっていうのは、すごく幸せなことなんですよね。
先日ラジオでも話しましたが、両親も祖父母も、一生自分の近くにいるわけじゃない。
だからこそ、私もみんなを大事にしようと思いました。
『解夏』同様、この作品も少し前に映画化されてるそうですよ~。

以上、さだまさしさんの小説レビューでした。
私は歌手としてのさださんしか知らなかったので、こんなに文才がおありだったのかとびっくりしてます。
4作ともちょっと切ないけど、優しい気持ちになれる作品。
今の季節にもぴったりなので、本格的な秋が来る前に是非どうぞ(*´ω`*)
安音でした、チャオ♪

