安音です♪

 

先日公開した、いわゆる日本文学を初めてちゃんと読みましたよ、という記事。

>>【雑記】読書の秋だし、昔の文学作品にチャレンジしてみた話

 

 

ここでは紹介しきれなかったんですが、もう一冊、今月に入って久し振りに読んだ本があるので、今回はそのお話をしたいと思います。



宮沢賢治の懐かしい作品を読み返してみた

前回の記事でも少し触れましたが、私は子供の頃ミュージカルを習ってて、日本の童話を題材に演技のレッスンを受けたことがありました。

 

その時、一番多く使われたのが宮沢賢治の作品。

『よだかの星』とか『どんぐりと山猫』といった作品をよく朗読したんです。

 

 

童話だから、子供でも読みやすくて親しみやすい文体なんですよね。

普段小説はあまり読まないけど、賢治に関しては昔からいろんな作品に触れてきました。

 

小学生の頃には、岩手県花巻市の宮沢賢治記念館にも連れて行ってもらったことがあります。

その時に買ってきたのがこの本。

ちくま日本文学全集 宮沢賢治

↑『風の又三郎』『グスコーブドリの伝記』『春と修羅』まで、有名な童話や詩が一通り載ってる作品集です。

 

あっ、でも『雨ニモマケズ』とか『銀河鉄道の夜』は入ってない・・

もう何回も読んだので、表紙がすっかりボロボロになってるんですが^^;

 

 

正直なところ、当時はまだ子供だったので、作品の深い部分まではそれほど理解出来てませんでした。

でもせっかく昔の小説に挑戦中なんだし、今ならまた違った気持ちで楽しめるかもと思って、しばらく振りに読んでみることに。

 

というわけで、印象に残った作品や思い入れの強い作品をいくつか紹介していきます。

セロ弾きのゴーシュ

「セロ」は今でいうチェロのこと。

楽団のセロ弾きの青年ゴーシュが、毎晩家を訪ねてくる動物達との交流を通して、演奏の技量を高めていくというお話です。

 

 

改めて読み返すと、賢治ってこんなにユーモラスな文章書く人だったんだ・・とちょっとびっくり。

猫、かっこう、狸、ねずみといった動物も、みんなキャラが強烈だし、ゴーシュとのやり取りもおかしいのと微笑ましいのとで、何回かフフッとなっちゃいました(笑)

 

でも彼らはそれぞれ、演奏する上で大切なことをゴーシュに教えてくれてたんだなぁ。

 

 

これって結局、何を伝えたかったんだろう?と考えると、未だに確かな答えは出てこないんですが・・

作品自体が音楽的なので、言葉のリズム感やテンポ感・感情の変化そのものを味わう、ということなのかもしれないですね。

 

文章だけだと、ゴーシュがどんな曲を弾いてるのかは分からないし、それも含めて、自由に情景のイメージを楽しめるのが魅力なんじゃないかと。

 

 

賢治自身も、よくセロやオルガンを弾いてたみたいだし(レベルはアレだったそうですが)

音楽好きなら一度は読んでおくことをおすすめします。

注文の多い料理店

小学生の頃に国語の授業で習って以来、ずっと心に残ってました。

 

サスペンス的な描写が今読んでも堪らないですね~。

雰囲気としてはとっても好みなんです、こういうの。

 

最後の扉の奥に何がいたのか、結局一連の出来事は夢だったのか現実だったのか、最後まで謎めいてるのが逆にいい。

 

 

そして主人公の二人、いろいろ都合よく考えすぎですよね(苦笑)

クリームや酢を身体につけられてるのに呑気なもんです。

 

他にも、連れていた犬が死んでしまった時は、自分達にとって損だと言ってるし、恐怖から解放されたらすっかりケロッとしてるし。

正直、こういう人達とはちょっとお付き合いしたくないな、と思っちゃいます。

猫の事務所

タイトルのイメージとは真逆のドロドロした作品。

猫の歴史や地理を調べる事務所を舞台に、陰湿ないじめの様子を描いた挙句、最後はなんともスッキリしない結末を迎えます。

 

 

実は小学生の頃、私が入ってた劇団がこの『猫の事務所』と、上2つの作品を舞台化したことがあったんです。

 

それで、私はこの物語の主人公「かま猫」をやりました。

猫耳とか尻尾をつけたわけじゃなくて、手で人形を動かして演じたんですが。

 

罵倒されたり無視されたり、もうずっといじめられっぱなし(笑)
(実際の演者同士はみんな仲良しです)

 

 

でも、普段の学校での私もそんな感じだったので、すごく親近感を覚えるキャラクターでしたね、かま猫君。

 

だからせめて、彼の救いになるものを一つでも残して欲しかった。

終盤急に出てきて「解散!」と命じた獅子も、いじめの根本的な解決をしてくれたわけじゃないし。

 

そんなこんなで、中身は暗いけどいろいろ思い出のあるお話なんです。

気のいい火山弾

おしまいに、あんまりメジャーな作品ではないかもしれないけど、秘かに気に入ってるのがこちら。

 

 

ある死火山の裾野に座っていた、「ベゴ(東北弁で「牛」)」というあだ名の火山弾。

一人だけおかしな形をしていたことから、周りの石達にいつもからかわれていました。

 

やがて周りに生えている植物までもが、そのベゴ石をバカにし始めます。

 

でもベゴ石は何を言われても怒ったりせず、ただ受け流してじっと座ってるだけ。

最後に、彼はその貴重な姿を人間の学者達に評価されて、大学の研究室に持ち帰られることになる、というお話です。

 

 

何度心無いことを言われても、傷ついたり逆上したりしないベゴ石の精神、私も見習いたい(>_<)

 

そして研究所に運ばれる直前、彼が自分をからかっていた石や苔達に残した言葉が、しばらく頭から離れませんでした。

「生きていく上で、私に出来ることって何だろう?」と考えさせられましたね・・

 

 

賢治の作品って、上の『猫の事務所』みたいにモヤっとするものもあるけど、これはちょっと切ない、でも温かい気持ちで締め括られます。

短いしすごく読みやすいので、知らない人には是非おすすめしたい作品。

 

というわけで、久し振りに宮沢賢治の世界を楽しんでみました。

 

童話って、ただ字を追っているだけでも楽しい。

そのうちに、いろんな情景や思いが自分の中に浮かんできて、日常とは違った気持ちにゆっくり浸れます。

 

 

ちょっと現実逃避したい気分の時は、あなたも是非ワクワクする物語や、思い出の作品に触れてみてはいかがでしょうか?

 

安音でした、チャオ♪