安音です♪
私は小学生の時から、アマチュアの市民劇団でミュージカルを習ってました。
そこで演技のレッスンを受けたりしてたんですが、題材として、日本の童話や文学作品を使うことが時々あったんです。
宮沢賢治とか浜田広介とか。
いわゆる「日本文学」というジャンルの本、あなたはこれまでどのくらい読んだことがありますか?
昔の作品ってなんか難しそうだし、特に国語が苦手だった人はとっつきにくいイメージがあるかもしれませんね。
私もお芝居のレッスンでいろんな作品を読んだとはいえ、そこまで深く内容を知ってる作品って、数えるほどしかありませんでした。
本は好きだけど読解力がないので、小説はあまり読むほうではなかったんです( ̄▽ ̄;)
だから物語作品はマンガばっかり。
でも先月、日本の童話を朗読劇にして上演してから、なんとなく昔の小説も読んでみたいな、と興味が湧いてきて。
せっかくだから、有名な作品を少し読んでみることにしました。
子供の頃は難しそうで手を出せなかった作品も、大人になった今なら、少しは理解出来るかもしれないし。
というわけで、早速図書館にGO。
著作権が切れてるものは青空文庫で読めるけど、スマホで読書するとどうしても目が疲れちゃうので・・
文学の世界に触れてみよう!
夏目漱石『草枕』
↑まずはこちら。
文豪・夏目漱石の代表作の一つですね。
このカバーイラストは、夏川草介さんの小説『神様のカルテ』の表紙を手掛けたカスヤナガトさんによるもの。
巻末には夏川さんによる解説も入ってます。
さて、本作の内容をご存じの方はちょっとびっくりされたかもしれません。
「いきなりこれ!?」って。
そうなんですよ・・
だってなんの予備知識もなく、ただ「有名な作品だから」ということで借りてきちゃったから。
夏目漱石はもちろん知ってるし、彼の人生についてもそこそこは知ってました。
幼少期は家族に恵まれず、ロンドン留学中に精神疾患を患ったこと。
西洋料理や甘いものが好きで、それがたたって胃潰瘍で命を落としたこと。
(ジャムをベロベロ舐めるほどの甘党だったらしいです)
でも作品に目を通したことはほとんどなくて、本作も含め、出だしの一文ぐらいしか知りませんでした。
だからこれを機に、漱石の作品に挑戦してみよう!と思って読み始めたわけなんですが・・
難しい(;一_一)
延々と続く文語体。今じゃ絶対使わない漢字ばっかりの言葉。
やたらと出てくる俳句。
読み始めて数分で、「うわ、これちょっと大丈夫かな・・」って不安になりました。
後で調べてみたら、本作は漱石の作品の中でもかなり難解な部類に入るとのこと。
そうだったんだ・・全然知らなかったよ・・
結局、文章全体を理解することはとても出来ず、主人公のモノローグは大半をすっ飛ばして読んじゃいました(汗)
でも、なんなんでしょうね。
不思議とこの世界観に惹かれてる自分がいて。
よく見てみると、難しい言葉の中にもリズムがあるし、ヒロイン・那美の存在はどこを切り取ってもミステリアスだし。
窮屈で生きづらい世間から離れて、水の中を流れるようにゆったり生きたい、と願う主人公の思いも、まさに今の私そのものでした。
そして、巻末の夏川さんの解説を読んで安心したんです。
「これはどこから読んでもいいし、どうやって読んでもいい作品なんだ」って。
最初から最後まで全部読もうとしなくても、気になったところから目を通す。
寝っ転がりながらでも逆さに持ちながらでも、好きなように読む。
明確なテーマやストーリー性があるわけじゃないので、あまり深く考えず、言葉の流れを楽しむようなスタイル、というと分かりやすいでしょうか。
一般的な小説と比べるとちょっと変わってるかもしれないけど、それがこの作品の特徴であり、魅力なんでしょうね。
路(みち)は幾筋もあるが、合(お)うては別れ、別れては合うから、どれが本筋とも認められぬ。
どれも路である代りに、どれも路でない。
引用元:夏目漱石『草枕』
今もパラパラっと読んでたら、この文章が目に留まりました。
漱石先生は作品の中で、本作の読み方も、大事にしたい生き方も示してたんです。
小説は本来、人によっていろんな見方が出来るもの。
それと同じように、人生にも正解と呼べるものはないし、それぞれいろんな道があっていい。
この作品が表現してるのはそういったことなんじゃないかな、と、何回か目を通すうちにやっと雰囲気が掴めてきました^^;
太宰治『人間失格』
↑もう一冊はこちらです。
今月公開のアニメ映画『HUMAN LOST 人間失格』の原案にもなった、太宰治の名作。
この表紙もどっかで見た絵だなぁ・・と思ったら、『DEATH NOTE』の小畑健先生が描かれたんですね。
太宰に関しても中学生の頃、国語の教科書に載ってた『走れメロス』を読んだきりだったので、私は全くの初心者。
だから何も知らずこの作品を選んで、後からそのドロドロした内容にちょっと暗い気持ちになっちゃいました(汗)
なんと言うか、主人公がひたすら哀しすぎる。
人間社会の中で上手く生きられずに、どんどん自分で自分を苦しめていって、最後は幸福も不幸も感じられない廃人・狂人になってしまった。
とにかく哀しいです。そして重々しい。
私もコミュニケーションが苦手で生きづらい思いをしてきたので、少し同情しちゃった部分もありました。
他人の心に敏感なタイプにとって、世の中は本当に苦労しますよね・・
だから、もっと何か別の選択肢はなかったのか、自分を傷めつけずに済むような生き方を見つけられなかったのか、と思わずにはいられない。
本作の発表から1ヶ月後に自ら命を絶った太宰も、どんな思いでこの作品を書いたんだろうと考えると、本当に胸が痛みます。
でもこういう暗めの作品、私は嫌いじゃないです。
後味悪い話に限って、なんか心に残っちゃうんですよね^^;
ということで、初めて自ら文学作品に手を出してみた、というお話でした。
年代を問わず、たまには小説に触れるのもいいもんですね。
現実から離れて気分転換も出来るし、登場人物と照らし合わせて、自分自身と向き合うことも出来る。
これからも、興味を持った作品には積極的に挑戦したいと思ってます。
実はもう一冊、今月に入ってから久し振りに読んだ本があるんですが、それはまた次の機会に紹介しようかな。
あなたも是非、時には難しい本も手に取って、言葉の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか?
安音でした、チャオ♪

