安音です♪
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズでおなじみの荒木飛呂彦先生の短編集・『岸辺露伴は動かない』。
その第2巻が昨日発売!
1巻の発売から約4年半。
私もこの日を楽しみに待ってました^^
↑まずカバーイラスト、1巻と同じように紫がメインカラーですね。
今回収録されている「ザ・ラン」のトビラ絵と同じですが、なんともアーティスティック。
1巻の表紙でも着けてたヘブンズ・ドアーの指輪もまたオシャレ。
これ、グッズ化したりしないのかな?
各話感想(未読の方はネタバレ注意)
『ジョジョ』第4部に登場するマンガ家・岸辺露伴がストーリーテラーとなって、自身の見聞録を語っていくシリーズ。
4部本編とは設定が違ってる部分も多くて、位置づけとしてはパラレルワールドのような感じです。
1巻に引き続き、今回も4つのエピソードが1話完結形式で収められてます。
エピソード4 望月家のお月見
2014年9月、ウェブ雑誌・少年ジャンプ+に掲載された作品です。
紙媒体で読めるのは今回が初めてということになりますね。
今作は、一族の人間の命日がなぜか全員「中秋の名月」であるという「望月家」の一晩を描いた物語です。
この日の夜、家族全員が揃ってお月見をしなければ、彼らは長生きすることが出来ない。
それが、望月家の者に代々課せられてきた「決まり」。
こういうある種の呪いみたいなものが世代を超えて受け継がれていくって、考えてみると恐ろしいことですよね。
その家に生まれたからこそ待ち受けてる運命。
『ジョジョ』本編ともちょっと通じる部分があるように思います。
そんな生死に関わる夜を過ごさなければならないというのに、望月家の皆さん、一人ひとりの個性がかなり強烈です。
このへんはまさに荒木キャラという感じで、楽しくもちょっと奇妙に描かれてました。
そんな彼らの運命を左右するのが、スタンドっぽいいでたちの謎のウサギさん。
毎年中秋の名月に月から下りてきて、お月見の習慣を守らなかった望月家の人間の命を奪っている様子。
はっきりした正体は結局分からずじまいだけど、何者なんでしょうね?
終始謎めいてるあたりが逆にホラーチック。
後の世代に辛いことを遺さないためにも、時代を超えて守られてきたものは大切にしなきゃいけないよ、ということでしょうか。
敵と真っ向勝負するようなバトルものではないけど、終盤の圧巻のどんでん返しに思わずハラハラしてしまいました。
ちなみに露伴先生、今作は完全に語り部的な扱いで、冒頭の2ページしか出てきません。
お食事中だったようで、顔は見えませんがトニオさんっぽい男性の姿もチラッと描かれてましたね。
エピソード7 月曜日 天気―雨
2016年1月、ジャンプスクエアに掲載された作品ですが、最近大雨の被害が相次いだだけに、なんともタイムリーなお話。
ここ数年、降水量が多いのは露伴先生の故郷・杜王町も同じなんですね。
舞台は雨の日の杜王駅。
編集部との打ち合わせのため、電車を待つ露伴先生に、歩きスマホをしている人が次々にぶつかってきます。
しまいには線路上に突き落とされて、スマホを持った他の人々もそこになだれ込んでくるというおかしな事態に・・
実はこの騒動に絡んでいたのは、電子機器の中に潜む新種の昆虫・ロレンチーニャ。
電磁波をエサとしていて、心臓が弱っている生物に集まる習性があるといいます。
こんな得体の知れない虫がスマホから出てきたら絶叫する・・(汗)
彼らが狙っていたのは、線路に落ちた露伴先生を助けようとした男性。
心臓に持病があったため、その残り少ない生命電気を食べようと、人々のスマホの中に潜んで彼のもとに集まっていたとのこと。
雨が多い昨今、ロレンチーニャのような生物も大繁殖するのでは?という疑念と共に、物語は幕を閉じます。
まさか荒木先生ご自身も、歩きスマホをしている人に何かされたことがあったんじゃあ?(苦笑)
もしそれをネタにしたんだとしたらすごいなぁ^^;
生活が便利になってく一方で、失われていく人間としてのモラル。
環境破壊によって頻発する異常気象。
今のままで本当に大丈夫なの?と警鐘を鳴らすような作品といえますね。
あとびっくりしたのが、今までになかったヘブンズ・ドアーの使い方。
チキンを本にして賞味期限などの情報を読んだり、列車に轢かれそうになった男性をバラバラの本状にして助けたり、新しいバリエーションが見られました。
まああくまでも『ジョジョ』本編とは繋がりのないパラレルワールドですからね。
変に突っ込んだりせずに「実はこんなことも出来たのね」と思うくらいにしておきましょう。
エピソード8 D・N・A
2017年9月、別冊マーガレットに掲載されたエピソード。
初めて少女マンガ誌に掲載された荒木作品ですね。
そのせいか、いつになく爽やかな作風。
ホラーチックな要素は控えめで、すごく新鮮な気持ちで読み進めました。
このお話の中心人物は、15年前に自動車事故で夫を亡くした女性・真依さん。
彼女にとっての気がかりは、精子バンクを通じて授かった一人娘・真央ちゃん(3)のことでした。
まず見た目が不可思議。
瞼の下側にだけ大量に生えた睫毛、顎まであるモミアゲ。
足元がいつも濡れていて、「はちにんこ」などと逆さ言葉しか喋らない。
さらに、お尻に短めのシッポが生えていて、誰かがこれに触ると、真央ちゃんの皮膚はカメレオンのようにその周りの景色に溶け込んでしまう。
そんな奇妙な体質の持ち主です。
彼女が一体何者なのかを知るために、真依さんは自ら父親の情報を探ろうとする、というストーリー。
物語後半、真依さんは真央ちゃんにそっくりな特徴を持つ男性・尾花沢さんに出会います。
(名前の由来は山形の尾花沢市ですね)
しかも、彼の行動は真依さんの元夫にそっくり。
まるで死んだ夫の魂の一部が、彼の中に宿っているかのよう。
真依さんは、彼こそが真央ちゃんの父親であり、夫の生まれ変わりのような存在であると確信しました。
彼と顔を合わせたことで、真央ちゃんも真依さんの前で初めて正しい日本語を口にします。
恐らく、シッポも保護色体質もこの後消えてなくなったんでしょう。
運命的なものなのか、真央ちゃんという存在が惹き会わせてくれたのか、命を奪われた夫とこのような形で再会を果たした真依さん。
予想外のあったかハッピーエンドに思わずウルッときちゃいました(;_;)
ちなみに、真依さんに露伴先生を紹介する役として、なんと由花子ちゃんが登場!
アンジェロ岩っぽいのもちょこっと描かれてましたね。
さらにさらに、『ジョジョ』屈指の名言である「だが断る」もまさかの再登場!!
珍しい別マでの掲載だからなのか、内容的にも非常においしいです(笑)
エピソード9 ザ・ラン
ジャンプ2018年13号に掲載された最新作。
杜王グランドホテルのジムで、露伴先生と筋肉の魅力に取り憑かれた青年が、トレッドミルを使ったゲームを繰り広げる物語です。
青年・橋本陽馬は露伴先生の推測によると、筋肉の神「ヘルメス神」の化身。
細マッチョな体型で、筋肉の一部が翼のような形をしています。
そして肉体を鍛え上げるために、自分のトレーニングの邪魔をする人間は誰であろうと殺してしまう恐ろしい男。
解説コメントで荒木先生も語ってましたけど、久々にこういう筋肉キャラが出てきましたね。
ジムでよっぽどすごい人でも見かけたのかな?(笑)
最初は普通の(?)イケメン君だった陽馬。
それが、周りから容姿を褒められるうちにどんどん向上心がエスカレートして、最後は「神様の化身」という予想を超えた形に辿り着きました。
まとめ
ということで読了!
それぞれ掲載された雑誌が異なることもあってか、結果的にバラエティ豊かな短編集になった感じがしますね。
いろんな作風や展開が楽しめる一冊でした。今回も面白かった!
長編ももちろんいいけど、荒木先生の描く短編はキャラも世界観もしっかりしていて本当に好きです。
またこういう形でコミックスが出るのを楽しみに、次回作も待ってます^^
安音でした、チャオ♪

